住職のブログ
京都同期会 (住職のブログ)
2022/06/30 (木)
6月23・24日、1泊2日でコロナ禍で中止していた修業時代の同期会を、久しぶりに京都で開催した。京都は、コロナの影響で外国人観光客がいないので、普段見学できない場所でも、ゆっくり見学できるだろうという理由で決めた。その第一候補は、なかなか見学できない京都御所である。今回は、予約なし案内人付きで見学でき、御所の成り立ちについて詳しく説明を受け、歴史のよい勉強になった。
京都御所は、京都に遷都された794年から明治維新(1868年)まで天皇の住まいとして使用された、由緒ある場所である。京都は何度も訪れているが、御所は初めてなのでその敷地の広さと檜皮葺の壮麗な建物群、そして手入れの行き届いた2千本の松の木には驚かされた。今まで御所は何度も火災にあい、その都度再建されて現在の建物は安政2年(1854年)に建立されたもので、明治・大正・昭和の天皇の「即位の礼」が行われた、歴史的な舞台となった場所であるとの説明であった。今回の京都御所見学は、日本の古代以来の宮殿建築、そして庭園を見ることができ、大変貴重なひと時であった。
次に訪れた世界遺産の二条城は、徳川家康が天皇の住まいである京都御所の守護と将軍上洛の宿泊所として、慶長8年(1603年)に築城したものである。城内は、狩野探幽の描いた虎の障壁画など、数多くの豪華絢爛たる桃山文化を見ることができる。そして一番の見どころは、慶應3年(1867年)15代将軍徳川慶喜が「大政奉還」を行った二の丸御殿の大広間である。この慶喜の速やかな決断は、欧米列強に付け入るスキを与えなかったということで、日本歴史上特筆すべき出来事である。「大政奉還」は、徳川家康から続いた徳川幕府の終焉であると同時に、日本近代の夜明けであった。近代日本のスタートは、「大政奉還」から始まったといえるだろう。
今回の同期会は、コロナのお陰で混雑することもなく、歴史的に重要な場所を見学することができ、有意義な時間を過ごすことができ、思い出深い旅となった。
『武器貸与法』 (住職のブログ)
2022/05/31 (火)
5月24日、ロシアによるウクライナ侵攻から3ヶ月、「人の噂も七十五日」のことわざ通り、人々の関心も薄れつつあるようだ。それにしてもロシアの戦争の仕方は荒っぽい、街を徹底的に破壊し住民を虐殺、そして略奪と無法者そのものである。これが、国連の常任理事国だと思うと本当に情けなくなる。アメリカは、そんなロシアへの対抗策として『武器貸与法』を議会で可決し、ロシアの「対ドイツ戦勝記念日」の5月9日に合わせ、バイデン大統領が署名し成立させた。
『武器貸与法』は、1941年当時のルーズベルト大統領の下で成立し、第二次世界大戦でナチスドイツと戦い苦戦していた、英国と旧ソ連を支援する為の法律であった。この法律によって、アメリカから大量の武器や装備品が送られ、劣勢だった旧ソ連は息を吹き返し、ナチスドイツをモスクワから押し戻し、ベルリンに攻め込み勝利することが出来たのである。スターリンは、この法案の成立を喜び40回も乾杯したと、言い伝えられている。
旧ソ連(ロシア)にとって、アメリカは敗戦の淵から救ってくれた、大恩人なのである。しかし、この法律は81年の時を経て、今度はロシアに向けて牙をむくことになり、歴史の皮肉としか言いようがない。これからの戦況に、どれほどの影響を与えるのか、プーチンロシアにとっては悪夢である。同時に、将来の台湾進攻を目論む習近平中国にとっても、気がかりな法律である。この法律の存在によって、台湾進攻のハードルが上がったことは確かだろう。今後の中国の動向に注目である。
今、中国は「ゼロコロナ」との戦いで忙しく、台湾進攻どころではないが、習近平主席にとって台湾進攻は最大の目標なので、決して諦めることはないだろう。この問題は、日本にとっても対岸の火事ではないので、これからも注視していかなければならない。中国・ロシア・北朝鮮と、日本の周りは危険でいっぱいである。3回目の『武器貸与法』が発動されないことを、切に願っている。
4月24日は、ロシアによるウクライナ侵攻が始まってから丁度2ヶ月、プーチン大統領が数日でウクライナを占領し、領土と主権を奪う作戦は、見通しの甘さから大失敗に終わった。その象徴が、3月にブチャで行ったロシア軍による民間人への大虐殺で、いくらロシアがフェイクニュースと詭弁を弄しても、今の時代通用しない。宇宙から人工衛星、地上ではスマホによる撮影と、検証できる多くの証拠が残されている。プーチン大統領が、「ロシア正教会」のトップであるキリル総主教と二人三脚で目指した、大ロシアの目論見は白昼夢で終わりそうである。
この大義名分なきウクライナ戦争の行く末は、4月13日に起きた黒海艦隊旗艦「モスクワ」が、ウクライナ軍のミサイル2発によって撃沈されたことが暗示している。この出来事は、日露戦争が始まった1904年の4月13日に、旅順港外でロシア極東太平洋艦隊旗艦「ペトロパブロフスク」が、日本海軍によって撃沈されたことを想起され、縁起が悪い。翌年には、ロシアバルチック艦隊が日本海海戦において、東郷平八郎率いる日本海軍によって完璧なまでに撃破され、ロシア敗戦につながった。日本勝利は世界を驚かさせ、ロシアに長年に苦しめられてきたフィンランドでは、東郷ビールが発売された。
今回の戦争で興味深いのは、ドローンが重要な役割を果たしていることである。そもそもドローンは、80年以上前の第二次世界大戦の際、軍事利用目的として英国と米国で開発で始まったといわれている。ところが、1980年代から民間で様々な利用目的として活用されたが、本格的な軍事利用が始まったのは、21世紀になってからである。今、ドローン兵器として有名なのは、トルコが開発した「バイラクタルTB2」で、ロシア軍を大いに苦しめている。一方、ロシアが軍事技術を結集して開発された、無人偵察ドローン「オルラン10」の心臓部には、市販の日本製ラジコンエンジン、カメラ、バッテリー等が使われているのには驚いた。これでは、米国を筆頭に西側の最新技術の武器を提供されているウクライナに、勝つことは難しいと思っている。
このまま戦争が長引けば、ロシアは日露戦争の二の舞になるのではないのだろうか。
「不惜身命」 (住職のブログ)
2022/03/31 (木)