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「プレミア12」 (住職のブログ

2024/11/27 (水)

11月24日、野球の国際大会「第3回プレミア12」の決勝戦が東京ドームで行われ、台湾が日本代表「侍ジャパン」を4対0で敗り、初優勝を飾った。「侍ジャパン」は、これまで国際大会27連勝であったが、ついに連勝記録がストップした。第1回大会は韓国、第2回大会は日本、第3回大会は台湾と優勝を分け合ったことは、アジアの野球界にとってプラスである。これから、お互い切磋琢磨してレベルアップしていければ何よりである。それにしても、台湾との決勝戦で完封負けするとは思いもよらなかった。「侍ジャパン」には、徳川家康の「勝つことばかり知りて、負けることを知らねば、害その身にいたる」の言葉を贈ろう。
 今回の決勝戦は、台湾の快勝で終わったが、一つ気がかりなことがあった。決勝戦前の辰巳選手の「優勝しています。おめでとう」という摩訶不思議な声出しである。試合前に優勝したかのような声出しは、対戦チームを見くびり傲慢さを感じる、不愉快なものであった。こんな気持ちで戦えば、野球の神様に嫌われ「運」から見放されるのではないかと心配したが、悪い予感が当たり妙に納得した。辰巳選手のビックマウスは毎度のこととはいえ、対戦チームを見下すような発言は、「百害あって一利なし」である。
 大谷選手は、2年連続の満票MVP受賞に際し、「ドジャースを代表してこの賞を頂いた」とコメントし、チームに感謝した。この謙虚さが、幸運をもたらしチームメイトから愛される理由なのだろう。野球は、個人でやるものではなく、チームでやるものだということを彼はよく理解している。大谷選手は、よくゴミを拾うことで知られているが、なぜゴミを拾うのかと言えば、それは「運」を拾うことに通じているからだと言っている。一見、「ゴミ」と「運」は無関係に思えるが、彼にとって「運」を呼ぶこむ大切な作法なのだろう。
 大谷選手のWBCでの「憧れるのはやめましょう」は、対戦チームをリスペクトしチームを鼓舞する素晴らしい声出しであった。辰巳選手の「プレミア12」での声出しは、対戦チームに対するリスペクトに欠け、チームに戸惑いを与えるだけであった。辰巳選手には、大谷選手の思慮深さと謙虚さを、少しは学んで欲しいものである。

 

 

 

裏金問題 (住職のブログ

2024/10/31 (木)

10月27日、第50回衆議院選挙が行われ、自民・公明の与党が過半数を割り、政権維持が危ぶまれる結果となった。選挙前から両党の苦戦が伝えられていたが、これ程の惨敗は予想外だっただろう。石破首相は、与党で過半数の233議席を勝敗ラインに位置付けていたが、結果は自民党191公明党24合計215議席と目標に届かなかった。それに対し、野党の立憲民主党は98から148議席と大幅増、国民民主党な7から4倍の28議席と飛躍的に伸ばした。これからの、与野党攻防に注目である。それにしても、裏金問題が選挙結果に及ぼした影響は大きかった。 
 国民にとって、お金の問題は日々の暮らしに直接響き、非常に敏感な問題である。ましてや、税務調査を受け厳しく税金を取り立てられている人達にとって、法律を作る立場の国会議員の裏金は許すことの出来ない大問題で、怒り心頭である。裏金は闇給与であり、当然納税の義務が発生する事案である。お寺も数年に一度は税務調査があり、もし葬儀料を帳簿に記載しなければ、闇給与として厳しく課税される。裏金を帳簿に記載せず、納税義務を果たさなかった国会議員の認識の甘さには、只々呆れるばかりである。
 今回の選挙で大躍進した国民民主党が、これから政局の主役となる。自民党は、国民民主党に秋波を送り、過半数を目指すことに全力を尽くすだろう。しかし、玉木代表は連立を組むことに否定的である。国民民主党の選挙公約は、「令和の所得倍増計画」を実現することとあるが、これは、昭和35年に当時の池田首相が掲げた「所得倍増計画」を思い出させる。この計画は、戦後の高度成長の端緒となり、めざましい高度成長を象徴する標語である。この標語は、昭和に生きた人間に明るい未来と希望を与えた。「令和の所得倍増計画」は、デフレ経済しか知らない若者や現役世代には魅力的に映った事だろう。
 玉木代表は、政治の役割は「国のふところ」を豊かにすることではなく、「国民のふところ」を豊かにすることと言ったことが、この言葉は選挙民の胸に刺さったことは確かである。裏金問題は、「国会議員のふところ」を豊かにし、国民を欺いたことにある。今回の選挙結果は、自民党のおごりへの国民の厳しい審判であったと言える。

総裁選挙 (住職のブログ

2024/09/30 (月)

9月27日、自民党総裁選挙が行われ、石破茂元幹事長が5回目の挑戦で、第28代自民党総裁に選出された。第1回目の投票では、高市早苗経済安全保障担当相に敗れたが、決選投票で逆転し、念願の自民党総裁の座に就くことができた。今回は、最後の挑戦ということもあり、背水の陣でのぞんだ結果、時の運も味方し、予期せぬ勝利をもたらした。総裁選の序盤は、小泉進次郎氏が圧倒的に有利と言われたが、若さゆえの経験不足と力量不足が露呈し、徐々に支持を失っていった。後半戦は、高市氏が史上初めての女性総理誕生かと期待されたが、あと一歩及ばなかった。その一因となったのは、「総理になったら直ぐに靖国神社に参拝する」という発言であった。総理が靖国神社を参拝すれば、中国・韓国そして米国を刺激し反発を招くことは確実で、日本外交を難しくするだけである。
 そもそも靖国神社は、1869年(明治2)戊辰戦争で戦死した神霊(みたま)を慰霊する為、東京招魂社として建立され、その後1879年(明治12)に靖国神社と改称された。しかし、日清戦争・日露戦争・第一次世界大戦を経て、慰霊から顕彰へと変化し、第二次世界大戦の戦死者は「英霊」として祀られた。一番の問題は、1978年(昭和53)にA級戦犯を「英霊」と合祀(ごうし)した事である。A級戦犯を「英霊」とした事が、日本は戦争を反省していないと思われたのである。
 日本では、亡くなれば皆ホトケとなるが、諸外国では罪人は永久に罪人である。この宗教観の違いが、問題の本質にある。この日本人の宗教観を、外国人に理解させることは非常に難しい。ドイツは、ナチスを徹底的に否定し戦争への反省を示したが、残念ながら日本はできなかった。戦争への反省を示す為、A級戦犯を合祀してはならなかったのである。宗教観の違いが、この問題をより複雑にし解決を難しくしている。
 石破新総裁の登場は、小泉元総理誕生の時とよく似ている。当時、森元総理の人気が低迷し、自民党の危機といわれた状況が、変人といわれた小泉総理を誕生させた。今回の総裁選挙も、旧統一教会問題や裏金問題で自民党の危機がささやかれている状況が、嫌われ者といわれた石破氏に味方したと言えるだろう。自民党は、疑似政権交代する事で、危機を乗り越えようとしている。自民党は、柔軟でしたたかであると同時に、摩訶不思議な政党である。

 

先祖崇拝 (住職のブログ

2024/08/31 (土)

8月20日、当山では5年ぶりに、お盆の行事である卒塔婆先祖供養の施餓鬼法要を、参列者制限なしで営んだ。コロナの影響により、ごく少数の参列者だけの法要が続いていたが、ようやく通常に戻り一安心である。先祖供養は、日本人にとって先祖を偲び感謝の誠を捧げる、大切な仏教行事である。それでは、なぜ先祖供養をするのかと言えば、先祖崇拝が日本人の宗教の核心を形成しているからである。その中心の行事であるお盆は、先祖の墓参りをするために、民族大移動の帰省ラッシュが起きる、一大イベントである。
 世界の様々な民族の宗教は、「あなたは誰のお陰で存在していますか」に対する答えである。日本人にこのように問えば、ご先祖・両親のお陰と答えるでしょう。それでは、旧約聖書を共通の聖典とする、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教徒を信仰している民族に同じように問えば、彼らは神のお陰と答えるでしょう。なぜなら、旧約聖書の創世記に、「神は自分に似せて人間を創造した」と書いてあり、人間を創造した神を否定したら、自分の存在はないと考えるからである。彼らにとって、神が最初に人間を創ったが故に、神は絶対なのである。日本流にいえば、神様孝行しなさいよという宗教と言えるだろう。
 日本人の先祖崇拝は、お盆・お彼岸・年回法要の仏教行事を通じて、先祖との絆を結ぶ。年回法要は、1周忌に始まり第33回忌をもって修了する。第33回忌を弔い挙げ、弔い修めという。それでは、なぜ第33回忌で終了するのかは、どんな仏教書を読んでもはっきりしない。一つ考えられるのは、朝鮮に「先祖崇拝をし過ぎて国が滅んだ」という諺がある。朝鮮では、5代前までの先祖の祥月命日に、毎年供養するという習慣があった。これを忠実に行えば、何が起きるか。家の長男は、先祖供養をするためだけに生きているようなもので、働くこともできずに貧乏になってしまう。これを皮肉って、このような諺が生まれたのだろう。
 日本人は、朝鮮を反面教師として、先祖崇拝やりすぎの弊害を見て、33年の期限を設けたのではないのだろうか。

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