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トランプ大統領の創り方 (住職のブログ

2025/01/30 (木)

1月20日、ドナルド・トランプ大統領の第47代米国大統領就任式が、豪家メンバーを随え華やかに執り行われ、第2次トランプ政権が発足した。トランプ大統領は、就任式直後から矢継ぎ早に大統領令を連発し、国内外に波紋が広がった。トランプ大統領の特徴は、関税を武器に取引し米国に有利な条件を引き出すことである。早速、貿易赤字の大きなメキシコ・カナダには、25%の関税を検討していると脅した。このような交渉スタイルが、日本にどのような影響を及ぼすのか、石破首相の力量が試されることになる。トランプ大統領の再登場を考えると、盟友安倍元首相を失ったことは、返す返すも残念である。
 トランプ大統領の発言や行動は型破りで、耳を疑うようなエピソードであふれている。そんな大統領がどのように創られたのか、その一端を描く映画が公開されている。昨年8月に米国で公開された時は、トランプ大統領が上映中止を求めた、いわくつきの映画である。その映画、「アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方」が仙台で上映されることになったので、先日50年ぶりに映画館に足を運んだ。それにしても、大統領選挙中に知られたくない若かりし時代を映画にするとは、米国はすごい国である。
 この映画は、若きトランプ大統領が伝説の悪名高き辣腕弁護士、ロイ・コーンに弟子入りし、劇的に変貌する姿を描いている。コーン弁護士から、勝つための3つのルールを叩き込まれる。1.攻撃・攻撃・攻撃2.全否定で押し切れ3.決して負けを認めるな、この3つの教えは現在のトランプ大統領にも受け継がれている。コーンにとって、若きトランプはアプレンティス(見習い)であり、かわいい弟子であった。この映画は、トランプ大統領の「見習い」時代を強烈な映像で描き、見る者を引き付けると同時に、考えさせられる映画であった。
 この映画の監督はイラン出身、トランプを演じた男優はルーマニア出身、妻を演じた女優はブルガリア出身と多彩で、さすが移民大国米国の面目躍如である。そして、トランプ大統領を知る上で、貴重な情報を与えてくれる映画で、一見する価値はある。

能登半島地震から1年 (住職のブログ

2024/12/30 (月)

令和6年のお正月は、能登半島地震に始まり、正月を祝う気分にはなれなかった。当山では、新春初祈禱会が終わり、皆でお茶を飲んでいた時で、少しは揺れたがこんな大地震だったとは分からなかった。テレビを見て、初めて大きな被害が出ていることを知り、東日本大震災の記憶が蘇ってきた。東日本大震災は、津波による家屋倒壊だったが、能登半島地震は激しい揺れによる家屋倒壊であった。改めて、日本は地震大国であることを、思い知らされたお正月であった。
 今年は、能登半島地震の大災害、8月には「南海トラフ臨時情報」が発表され、対応に戸惑った自治体や企業が多かった。一方、庶民は地震に備えるため米の買いだめに走り、米不足に拍車をかける結果となり、町中から米が消えてしまった。30年前の米不足は、自然現象の冷害によるものだったが、今回は人災で国の情報の出し方に問題がなかったか、検証が必要である。日本に住んでいる限り、地震から逃れることは出来ないので、地震対策は必要だがパニックが起きないような情報発信の仕方に、一工夫が必要である。「南海トラフ地震」がいつ起きるのか、心配の種は尽きない。
 「南海トラフ地震」は、20年前に23万人の死者・行方不明者を出した「スマトラ地震」を超える死者・行方不明者が予想される巨大地震である。「南海トラフ地震」の参考になるのは、1707年の「宝永地震」だろう。この地震は、日本史上最大の大地震と言われ、関東から九州まで地震・津波が広範囲に及んだ、東海・東南海・南海の三連動地震である。その49日後には、富士山の大噴火で未曾有の大災害を引き起こし、江戸にまで火山灰が降りそそいだと言われている。近い将来に、起きるだろうと言われる「南海トラフ地震」は、日本にとって一大事、最大の関心事である。
 能登半島地震から一年、被災地は高齢化・人口減少が進み、半島・軟弱地盤という今までにない難しい地域である。これまで以上の、行政・ボランティアの力が必要で、一日も早い復旧・復興を願っている。

「プレミア12」 (住職のブログ

2024/11/27 (水)

11月24日、野球の国際大会「第3回プレミア12」の決勝戦が東京ドームで行われ、台湾が日本代表「侍ジャパン」を4対0で敗り、初優勝を飾った。「侍ジャパン」は、これまで国際大会27連勝であったが、ついに連勝記録がストップした。第1回大会は韓国、第2回大会は日本、第3回大会は台湾と優勝を分け合ったことは、アジアの野球界にとってプラスである。これから、お互い切磋琢磨してレベルアップしていければ何よりである。それにしても、台湾との決勝戦で完封負けするとは思いもよらなかった。「侍ジャパン」には、徳川家康の「勝つことばかり知りて、負けることを知らねば、害その身にいたる」の言葉を贈ろう。
 今回の決勝戦は、台湾の快勝で終わったが、一つ気がかりなことがあった。決勝戦前の辰巳選手の「優勝しています。おめでとう」という摩訶不思議な声出しである。試合前に優勝したかのような声出しは、対戦チームを見くびり傲慢さを感じる、不愉快なものであった。こんな気持ちで戦えば、野球の神様に嫌われ「運」から見放されるのではないかと心配したが、悪い予感が当たり妙に納得した。辰巳選手のビックマウスは毎度のこととはいえ、対戦チームを見下すような発言は、「百害あって一利なし」である。
 大谷選手は、2年連続の満票MVP受賞に際し、「ドジャースを代表してこの賞を頂いた」とコメントし、チームに感謝した。この謙虚さが、幸運をもたらしチームメイトから愛される理由なのだろう。野球は、個人でやるものではなく、チームでやるものだということを彼はよく理解している。大谷選手は、よくゴミを拾うことで知られているが、なぜゴミを拾うのかと言えば、それは「運」を拾うことに通じているからだと言っている。一見、「ゴミ」と「運」は無関係に思えるが、彼にとって「運」を呼ぶこむ大切な作法なのだろう。
 大谷選手のWBCでの「憧れるのはやめましょう」は、対戦チームをリスペクトしチームを鼓舞する素晴らしい声出しであった。辰巳選手の「プレミア12」での声出しは、対戦チームに対するリスペクトに欠け、チームに戸惑いを与えるだけであった。辰巳選手には、大谷選手の思慮深さと謙虚さを、少しは学んで欲しいものである。

 

 

 

裏金問題 (住職のブログ

2024/10/31 (木)

10月27日、第50回衆議院選挙が行われ、自民・公明の与党が過半数を割り、政権維持が危ぶまれる結果となった。選挙前から両党の苦戦が伝えられていたが、これ程の惨敗は予想外だっただろう。石破首相は、与党で過半数の233議席を勝敗ラインに位置付けていたが、結果は自民党191公明党24合計215議席と目標に届かなかった。それに対し、野党の立憲民主党は98から148議席と大幅増、国民民主党な7から4倍の28議席と飛躍的に伸ばした。これからの、与野党攻防に注目である。それにしても、裏金問題が選挙結果に及ぼした影響は大きかった。 
 国民にとって、お金の問題は日々の暮らしに直接響き、非常に敏感な問題である。ましてや、税務調査を受け厳しく税金を取り立てられている人達にとって、法律を作る立場の国会議員の裏金は許すことの出来ない大問題で、怒り心頭である。裏金は闇給与であり、当然納税の義務が発生する事案である。お寺も数年に一度は税務調査があり、もし葬儀料を帳簿に記載しなければ、闇給与として厳しく課税される。裏金を帳簿に記載せず、納税義務を果たさなかった国会議員の認識の甘さには、只々呆れるばかりである。
 今回の選挙で大躍進した国民民主党が、これから政局の主役となる。自民党は、国民民主党に秋波を送り、過半数を目指すことに全力を尽くすだろう。しかし、玉木代表は連立を組むことに否定的である。国民民主党の選挙公約は、「令和の所得倍増計画」を実現することとあるが、これは、昭和35年に当時の池田首相が掲げた「所得倍増計画」を思い出させる。この計画は、戦後の高度成長の端緒となり、めざましい高度成長を象徴する標語である。この標語は、昭和に生きた人間に明るい未来と希望を与えた。「令和の所得倍増計画」は、デフレ経済しか知らない若者や現役世代には魅力的に映った事だろう。
 玉木代表は、政治の役割は「国のふところ」を豊かにすることではなく、「国民のふところ」を豊かにすることと言ったことが、この言葉は選挙民の胸に刺さったことは確かである。裏金問題は、「国会議員のふところ」を豊かにし、国民を欺いたことにある。今回の選挙結果は、自民党のおごりへの国民の厳しい審判であったと言える。

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