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ウクライナ戦争と日露戦争 (住職のブログ 未分類

2022/04/30 (土)

4月24日は、ロシアによるウクライナ侵攻が始まってから丁度2ヶ月、プーチン大統領が数日でウクライナを占領し、領土と主権を奪う作戦は、見通しの甘さから大失敗に終わった。その象徴が、3月にブチャで行ったロシア軍による民間人への大虐殺で、いくらロシアがフェイクニュースと詭弁を弄しても、今の時代通用しない。宇宙から人工衛星、地上ではスマホによる撮影と、検証できる多くの証拠が残されている。プーチン大統領が、「ロシア正教会」のトップであるキリル総主教と二人三脚で目指した、大ロシアの目論見は白昼夢で終わりそうである。

この大義名分なきウクライナ戦争の行く末は、4月13日に起きた黒海艦隊旗艦「モスクワ」が、ウクライナ軍のミサイル2発によって撃沈されたことが暗示している。この出来事は、日露戦争が始まった1904年の4月13日に、旅順港外でロシア極東太平洋艦隊旗艦「ペトロパブロフスク」が、日本海軍によって撃沈されたことを想起され、縁起が悪い。翌年には、ロシアバルチック艦隊が日本海海戦において、東郷平八郎率いる日本海軍によって完璧なまでに撃破され、ロシア敗戦につながった。日本勝利は世界を驚かさせ、ロシアに長年に苦しめられてきたフィンランドでは、東郷ビールが発売された。

 今回の戦争で興味深いのは、ドローンが重要な役割を果たしていることである。そもそもドローンは、80年以上前の第二次世界大戦の際、軍事利用目的として英国と米国で開発で始まったといわれている。ところが、1980年代から民間で様々な利用目的として活用されたが、本格的な軍事利用が始まったのは、21世紀になってからである。今、ドローン兵器として有名なのは、トルコが開発した「バイラクタルTB2」で、ロシア軍を大いに苦しめている。一方、ロシアが軍事技術を結集して開発された、無人偵察ドローン「オルラン10」の心臓部には、市販の日本製ラジコンエンジン、カメラ、バッテリー等が使われているのには驚いた。これでは、米国を筆頭に西側の最新技術の武器を提供されているウクライナに、勝つことは難しいと思っている。

 このまま戦争が長引けば、ロシアは日露戦争の二の舞になるのではないのだろうか。

「不惜身命」 (住職のブログ

2022/03/31 (木)

 3月24日、ウクライナ戦争が勃発してから一ヶ月、プーチン大統領の思惑は外れ、戦闘は長期化泥沼化の様相を呈している。テレビには、連日ロシアの無差別攻撃が映し出され、ウクライナの悲惨な状況が伝えられている。プーチン大統領は、旧ソ連の秘密警察KGB出身なので、この組織の体質である暴力に頼り、国際法を無視し、噓を真実と語る冷酷さを、戦争を通して体現している。それにしても、常任理事国のロシアによって、19世紀の力による領土拡大戦争が起こされるとは、青天の霹靂である。  先月、ロシアによるウクライナ侵攻が始まった時には、首都キエフは数日で陥落するといわれたが、まだ攻略できていない。この状況を作り出したのは、ゼレンスキー大統領が危険を顧みず、キエフに留まり国民を鼓舞し続けたことが大きい。そして、大統領がロシアに命を狙われているという情報が拡がり、米国が国外脱出を打診した際に、「必要なのは乗り物(脱出手段)ではなく、弾薬だ」と言い、断固戦う姿勢を示し国民そして世界を動かした。これによって、国民の士気が上がり、NATO諸国も本格的にウクライナ支援に乗り出したのである。  しかし、日本ではテレビやネットで人命が大切なので、すぐに白旗を上げ降伏すべきというコメンテーターや知識人がいて、平和ボケ日本を象徴していた。今の日本人は、生命以上に大切なものがあることを、忘れているのではないだろうか。宗教界には、「殉教者」と言われる人々がいて、生命をかけて信仰を守ろうとした。法華経には、「不惜身命」(身命を惜しまず)の言葉がある。その意味は、「命にまさる財(たから)はないが、その至尊の生命を投げ出しても、至極の信仰を守る」尊さを教えているのである。日蓮聖人は、「大難四ケ度小難数知れず」と述べ、生命をかけて法華経信仰を貫いた。その結果が、八百年続く日蓮宗となっている。  日蓮聖人の「不惜身命」の信仰がなければ、現在の日蓮宗が存在しないように、ウクライナ国民が「不惜身命」の決意で国を守ろうとするならば、尊重しなければならない。安全な日本にいる人間は、軽々に降伏すべきなどと言うべきではないと思っている。

プーチン戦争 (住職のブログ

2022/02/28 (月)

2月20日、日本が冬季オリンピック最多の18個のメダルを獲得した平和の祭典、第24回冬季オリンピック北京大会が閉幕した。しかし、その余蘊が冷めやらぬ24日、ロシアがウクライナに電撃侵攻し、世界に衝撃を与えた。21世紀になっても、まだこんな事が起こるのかと思うと、驚きである。国連の常任理事国であるロシアの振舞いだけに、世界に与える影響は計り知れない。独裁者プーチン大統領の暴挙は、将来のロシアに暗い影を落とすことになるだろう。今回の出来事は、91年前の満州事変を思い起こさせる。  日本は、1931年9月奉天郊外の柳条湖で南満州鉄道を関東軍が爆破し、これを中国軍の仕業として軍事行動を開始した。これが満州事変で、当時の若槻礼次郎内閣は不拡大方針であったのだが、関東軍をこれを無視して占領地を拡大していった。そして、翌年3月には満州全土を占領し、清朝最後の皇帝溥儀を「執政」に迎え、満州国を建国した。  しかし、1933年2月国際連盟は、42対1で日本の満州撤兵勧告案を可決、この決定を不服とした日本は、3月に国際連盟を脱退した。日本は、これを境に軍部に引きずられ、8年後の無謀な太平洋戦争への道を、突き進むことになる。なぜ、日本はこれほど満州にこだわったのかといえば、当時ロシアの南下政策があったので、「満州は日本の生命線」という思いが強かったのである。  今回の、プーチン大統領のウクライナ侵攻もNATOと対峙する為、「ウクライナはロシアの生命線」という強い思いがあったのだろう。その結果、ロシア系住民がウクライナによってジュノサイドされているので、ロシア系住民を守るという口実で、侵略戦争を始めた。こんな根拠なき大儀名分で、隣国の主権国家を侵略するとは、国際秩序を守る立場の常任理事国のすることではない。自ら国際法違反を犯し、国連を機能不全にすれば、国連の存在意義が問われることになる。  大儀なき侵略戦争は、ロシアを国際的に孤立させ、プーチン大統領を国際社会の破壊者として、歴史に名を刻むことなるだろう。プーチン戦争の、今後の行方に注目である  

国の強化策 (住職のブログ

2022/01/31 (月)

1月27日、ワールドカップサッカーのアジア最終予選が、埼玉スタジアムで行われ、日本が中国に2対Oで勝利した。予想では、中国がカンフーサッカーで日本を苦しめ、荒れた試合になると思いきや、以外にもパスサッカーで平穏な試合となった。試合内容は、日本が圧倒的にボールを支配し、中国との実力差は歴然で、あぶなけない快勝であった。 日本と中国は、1990年代ほぼ同時期にプロリーグが発足したが、互角だった実力がこの30年で、これだけ差がついたのかと思うと感慨深い。中国は、Jリーグを参考に中国リーグを創設し、優秀な外国人監督や選手を破格な契約金で招請し、サッカー強国を目指した。しかし、今回の試合をみる限り、中国の強化策は実を結ばなかったようである。その原因は様々あるだろうが、大きな要因は底辺を広げず、地道に指導者や若手選手の育成を怠ったことだろう。中国は、皮肉にも大金をつぎ込むだけでは、サッカー強国になれないことを証明した。 なぜ、日本と中国がこの30年間にこれだけ差がついたのか、参考になる出来事がある、それは1894年の日清戦争である。超大国清(中国)が、新興勢力の日本に完敗したことである。その原因は、約30年前に始まった両国の近代化政策、日本の明治維新、中国の洋務運動である。その理念は、日本は和魂洋才・中国は中体西用である。和魂洋才とは、日本の魂を大切にし西洋の学問・知識・科学技術等を総合的に学ぶことである。中体西用は、中国の体制を維持して西洋の科学技術を利用することである。両国の違いは、日本は西洋からすべてを吸収しようとしたのに対し、中国は西洋の科学技術だけを利用しようとしたことである。この国家強化策の相違が、30年後の日清戦争の結果に如実にあらわれた。  ようするに、日本のサッカー強化策は、サッカー強豪国のすべてに学び、その良いところを取り入れる、一方、中国の強化策は、強豪国から優れた監督や選手を招請して、お金で強化する。この違いが、今回の結果となってあらわれたと考えている。そして、中国の21世紀版中体西用が成功するか、興味深い。

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