住職のブログ
秋彼岸 (住職のブログ)
2023/09/29 (金)
9月20日は、「暑さ寒さも彼岸まで」と言われる、秋彼岸の入り日である。今年は猛暑続きの夏であったが、ようやく秋の気配を感じられる季節になった。お彼岸は、平安時代から1000年以上続く、日本独自の仏教行事である。春と秋の2回、「春分の日」「秋分の日」の日をはさむ1週間である。お彼岸には、お墓参りをしてご先祖をしのぶと同時に、そこにはお釈迦様の教えが込められている。
なぜ、お彼岸が1週間の7日なのかといえば、インドでは7という数字が、仏を象徴する数字と考えられているからである。それは、お釈迦様が誕生した時、「七歩あるいて天上天下唯我独尊」と言った古事にあらわれている。7歩あるくことによって、この子は将来仏様になることを、暗に示唆しているのである。つまり、仏教は「成仏」を目指す宗教であることを、お彼岸の行事を通じて私達に教えているのである。そして、お彼岸では「春分の日」「秋分の日」を「お中日」といい、9月23日が秋彼岸の「お中日」である。
それでは、お彼岸になぜ「お中日」が設けられたのかといえば、7日間の真ん中で、昼と夜の長さが同じいうことで、お釈迦様が説かれた「中道」の教えと結びついているからである。仏教の大切な教えである、「成仏」と「中道」をお彼岸の行事を通して、今に伝えているのだということを忘れてはならない。お彼岸は、ご先祖に感謝すると同時に、お釈迦様の教えに触れる1週間でもある。
お釈迦様が説いた仏教を、わかりやすく教えてくれる漢詩がある。それは、「七仏通戒偈」(しちぶつつうかいげ)で、「諸悪莫作 衆善奉行 自浄其意 是諸仏教」(もろもろの悪をなすなかれ もろもろの善を奉行せよ 自らその意を淨くする これ諸仏の教えなり)である。「闇バイト」と称し、安易に悪事に手を染める若者を見ると、「七仏通戒偈」を思い出す昨今である。
処理水放出への想い (住職のブログ)
2023/08/31 (木)
8月24日、東京電力・福島第一原子力発電所の事故から12年半、ようやく原子炉デブリから出る汚染水を処理した、ALPS処理水の海洋放出が始まった。中国は反対しているが、この作業は廃炉に向けこれから30年、粛々とやり続けなければならない。原発の空撮映像で、1000基以上のタンク群を見ると壮観だが、気になることがある。タンクが設置されている場所は、断崖の上にあり原発敷地の海抜と明らかに違う。この光景を見るたびに、なぜ30mある断崖を10mまで削って建設したのか、胸中複雑である。
福島第一原子力発電所は、1号機はアメリカのGE、2号機は東芝、3号機は日立、こ3機がメルトダウンを起こして、大惨事を招いた。GEの1号機は、海抜10mで設計されていたが、15mにすべきという意見もあったが、設計を変更すると多額の費用が掛かるということで、結局GEの設計どおりとなった。この決定が、40年後に未曾有の大惨事をもたらすとは、東京電力も想像できなかっただろう。東日本大震災時の津波は14.8mであったので、この5mの差が天国と地獄の分かれ目となった。女川原発は海抜15mに建設され、かろうじて津波の被害を免れたことを考えると、残念でならない。
それではGEは、なぜ海抜10mで設計したのかといえば、アメリカでは津波は想定されておらず、竜巻から守るために非常用電源を地下に設置することが重要であった。皮肉にも、この地下に設置された非常用電源が津波で浸水し稼働せず、電源喪失となり原子炉に水を送れなかったことが、メルトダウンにつながった。原発は、電気と水が生命線であることを、改めて教えてくれた。東京電力は、安全神話に酔い、津波に対する認識が甘く、過小評価したことが、大惨事につながったことを、大いに反省しなければならない。
福島第一原子力発電所の事故から学ぶべきことは、津波の恐ろしさと、電気と水の大切さと、風評被害の深刻さである。風評被害を大きくした一因に、原発に「県名」を付けたことにあるのではないか。もし、所在地の「町名」双葉原発であったならば、これほどの風評被害にはならなかったのではないか、検証が必要である。甚大な被害をもたらす原発事故は、二度と起こしてはならない。
日本の人口動態 (住職のブログ)
2023/07/31 (月)
7月26日、総務省は日本の人口動態調査の結果を発表した。それによると、日本の総人口が80万1千人減の1億2541万6877人で、1968年の調査開始以降の最多を更新し、初めて47都道府県全てでマイナスとなった。この数字は、日本がいかに少子化が進行しているかを、如実に示している。この少子化が、これからの日本社会にどのような影響を及ぼすのか、注視しなければならない。日本2000年の 歴史で、総人口が減少したのは浅間山の大噴火と天明の大飢饉があった18世紀だけと言われているが、この傾向が続けば21世紀は史上最多の人口減少世紀になるだろう。
それでは、2000年前の日本の総人口がどれくらいかといえば、約60万人で、現在の200分の1であった。日蓮聖人が活躍した鎌倉時代、13世紀のの総人口は現在の千葉県の人口と同程度の600万人であった。そして、日本の総人口が1000万人を超えたのは16世紀の戦国時代で、徳川家康が江戸幕府を開いた当時の総人口は1200万人、現在の10分1であった。家康時代から400年で、1億人以上増加した計算になる。その中でも、20世紀の人口増加は驚異的で、4000万人から1億2000万人と、100年で3倍になっている。
20世紀で注目すべきは、堺屋太一が名付けた「団塊の世代」である。「団塊の世代」は、昭和22年(1947)~昭和24年(1949)に生まれた世代で、昭和22年267万人、昭和23年268万人、昭和24年269万人と合計出生数が800万人を超え、昨年の出生数79万人と比較すると、驚異的であったことが分かる。この世代は、戦後の高度成長を担い、バブル経済発生の原動力となったが、しかし、来年には全員が後期高齢者となり、社会保障制度の根幹を揺るがす、悩ましい存在になる。
現在の日本は、世界一の高齢社会の到来で課題先進国となり、どのような社会を築くのか、世界が注目している。日本の知恵と経験は、これからの世界に大いに役立つことになるだろう。
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楽天の低迷 (住職のブログ)
2023/06/30 (金)
6月26日、楽天田中将大はソフトバンク和田と投げ合い、一ヶ月ぶりに4勝目をあげ4勝4敗とようやく星を五分に戻した。田中がヤンキースから楽天に移籍してから3年、この間の成績は期待を裏切る結果で、ファンを大いに失望させた。これまでの田中の投球を見ていて感じることは、コントロールが少し甘くなると簡単に打たれることが多く、往年の力による投球スタイルの限界が見えていた。今回はうまくいったが、次回登板でこのような結果を出せるのか、真価を問われることになる。一方、打撃陣では一昨年打点王、昨年最多安打の島内の不振がこれほど長く続くとは、全く予想できなかった。今年は、打率1割台で思いっ切りの良さは影を潜め、迷いながらのバッティングで快音は聞かれない。一日も早い復調が待たれる。
楽天は現在最下位に低迷しているが、その一番の要因は石井監督にあると考えている。監督は、昨年と同じ失敗を繰り返している、それは、実績のある選手にこだわりすぎることにある。昨年は、開幕ダッシュに貢献した西川を、40打席無安打にもかかわらず、一番スタメンで使い続けたことである。その間、楽天の成績は急降下していった、今年は、昨年セットアッパーとして活躍した西口を、打たれても打たれても使い続け、その負け癖をチーム全体に蔓延させてしまった。腐ったミカンを箱の中に入れておけば、箱全体に広がる現象と同じである。負け癖のついた投手は一旦二軍に落とし、負け癖を取り除かなければならない。
石井監督は、目に見えるところだけを見て、目に見えない影響に鈍感である。実績のある選手が不調でも、そのうちに良くなるだろうと使い続け、その悪影響に考えが及ばない。実績のある選手を優遇しすぎれば、若手は育たない。有望な若手である安田は、田中とバッテリーを組む時以外は代打である。安田の打撃を伸ばすためには、DHとして経験を積ませることが必要であると思っている。実績主義もほどほどにして、若手にもっとチャンスを与えて起爆剤としてもらいたいものである。
親会社は、発展させるために無理をしているが、石井監督は、勝つために無理をしないポリシーと、真逆で皮肉なことである。